誰か人生を教えてください・・・


by maple_r

初夢について考える

前略 飛田 高先生
先日 僕は、こんな夢を見ました。元旦の夜に見た夢では無いので、本当の初夢では無いのですが、今年最初の印象に残った夢ということで、一年を暗示しているような気がします。
どのようなことの暗示なのか、ご教示くださいますようお願い申し上げます。


舞台は僕の部屋です。季節はなぜか夏。そして、なぜか男が一人、同居しています。ルームシェアみたいなのでは無く、居候。
この居候は友人なのですが、現実の誰それでは無く、ただ友人が居候という設定だっただけです。ちなみに、太っていて典型的なアキバ系オタクのルックスで性格も内向的な人でした。

暑い夏のとある日、僕の家の壁に、とつぜん巨大なセミが留まっていました。さなぎから羽化したばかりのようで、まだ全体的につやつやしていて、羽も縮こまってげんなりしていました。驚くのは、その巨大セミの大きさです。体長は15cm、幅は10cmを越す大きさで、はっきり言って、気持ち悪いものでした。
なぜ部屋の中にそんな巨大セミが出現したのかは謎でしたが、気持ち悪いので部屋の外へ逃がそうとすると友人は、
「羽化したばかりの生命だ。大切にしてやらねばならん」
そして、こうも言うのでした。
「これは……ゆう子だ」
「ゆう子? はぁ?」
「オレにはわかる。ゆう子、オレが見守るからな」

その日から、友人は朝から晩まで、ゆう子(?)に見入って過ごすようになりました。
羽は一向に開く気配は無く、というよりも身体自体全く動かず、僕にとっては死んでるようにしか見えません。
「これさあ、死んでんじゃねえ? 羽、いつまで経っても開かないし。つか、動かねえし」
「お前……ゆう子に謝れ! なんてこと言うんだ!」
「あ、謝れって言われても…」
「お前みたいに、ちゃんと見守って無いやつにはわからないだろうが、少しずつ羽は伸びていってるんだよ!」
「て、ていうかさ、動かないってことはほら、栄養だって取ってないわけだろ。セミはなんだ、長い口を木に突き刺して樹液を摂取するんだっけ。家の壁じゃ栄養は取れないだろ」
「ある種の蛾の成虫には、口が無いのがいる。幼虫時代に摂取した栄養の貯金だけで成虫時代を過ごすんだ。ゆう子がこんなに大きいのは、そうやって栄養を蓄えているからなのかもしれない」
「ふーん……」

友人はどうやら無職で、僕が目覚めるともう壁に張り付いた巨大セミの前で、中腰の姿勢を取ってじっと凝視をしており、僕が仕事から帰ってきても同じ姿勢のままでいるのです。

「おいおい、ちょっと見てみろ」
ある日、仕事から帰宅すると友人は僕を呼びました。
「ここまで伸びれは、さすがにお前にもわかるだろう」
「おお、本当だ。もう少しじゃねえ?」
「そうだな。うん、ゆう子が飛び立つまで、もう少しだ、うん……」


そして

「おはよう」
「おはよう。ずいぶん遅いんだな」
「休みの日くらい、ゆっくり寝かせてくれ」
「そうか、見てみろよ」
「おおおっ!! すっかり羽、伸びきってるじゃねえかっ!」
「ばかっ、大きな声を出すなよ。ゆう子がびっくりするだろ」
「す、すまん。しかしこれ、もうすぐにでも飛び立つんじゃねえか?」
「そうだな。今か今かと待ってるんだが」
羽が生えそろった巨大セミは、すでに20cmを越え、グロテスクを通り越して神々しくさえもありました。
しばらく二人で見続けていましたが、やがて小刻みに羽を震わせるようになってきました。
「どうするんだよ、お前」
「え、何が」
「これだけ見守り続けて、ゆう子が飛び立って部屋を出て行ってしまったらサヨウナラかい?」
「仕方あるまい。見守るということは、そういうことだ」
「そういうことってお前……これだけ時間費やしてきたのは、お前の愛情なんだろう? そんな簡単に別れちまって良いのかよ。鳥かごとか買ってきてさ、そこで飼ったり、そういうのどうなんだよ」
「バカ野郎。ゆう子を飼う? 鳥かごに入れる? そんなこと、出来るわけねえだろうっ! オレはそんな思い上がった野郎とは違うんだよ。ゆう子を見守れれば十分なんだ。オレの手を離れて巣立って、そのままゆう子の人生を歩んでくれたら、それで十分なんだよ」

やがて、羽が震えるだけで無く、身体も動くようになってきました。
「そろそろだな」
「そうだな、来るな」
「飛んじゃったら終わりなんだぜ?」
「うるせえよ。見守れればそれで良いって何回言わせるんだよ」
そして羽音が絶え間なく鳴り続くようになり、いよいよ飛び立つ瞬間が迫ってきました。
「おお、飛ぶ、飛ぶぞ!」
「飛ぶ! す、すげえぞ、ゆう子!!」
そしてゆう子はテイクオフしました。
壁を離れ、その巨体を持ち上げ、ゆっくりとゆっくりと浮上していきます。
と思ったのもつかの間、僕らの脇からパンジャ(猫・牝10)が果敢にダッシュ&ジャンプしゆう子に爪を立て、哀れゆう子はパンジャの前脚の下で断末魔の羽音を立てたのです。
「あああ!!! パンジャ、何をするっっ!!」
あわててパンジャからゆう子を離そうとする僕に、友人はそっと肩に手を置いて話しました。
「もう、いいよ。こういう運命だったんだって。数えてもみろよ、ゆう子が羽化してからもう一週間が経つ。飛び立ったところで、先は無いのさ。だったら、野生のヒエラルキーに委ねるのも一興だ」
「お前……」


と、多少の脚色はありますが、こんな内容の夢を見ました。
今週は週末までご出張とのことですが、なにとぞ、僕の今年の運勢を見て頂ければ幸いでございます。
[PR]
by maple_r | 2005-01-12 01:51 | 雑記